あ〜つまんない。 あ〜かたくるしい。
今日もこいつはのこのこと私の部屋に来た。 何をするでもなく
何を話すでもなく、ただボーっとＴＶを見てる。 イヤ、見てるフリかな。
きっと今夜は・・・・じゃなくて、きっとまた今夜だけ泊まっていくんだろうな。
そして次の日はあのオンナのところ。 はぁ〜それ考えると頭がゴチャゴチャしてくる！
こんなんになってもうどれ位たつっけ？ えーっと・・・・約一ヶ月か。
あの時は「それでもいい」なんて殊勝なこといったけど。 やっぱそれでも
いいけど、それでもつらいね。まじで。
『 別に好きな人が出来たんだ』なんてシリアスにいっちゃって。
『 でも、お前も好きなんだ』 なんて潤んだ目をしていっちゃって。
『 答えが出なくて苦しんでるんだ』 なんて心にもない事いっちゃって。
あんたは言ってすっきりしたのか、それいらい”あっち”の方はさっぱりだし。
あったとしてもだらだらだし。 こいつ私に何か恨みでもあるの？ちょっと脅してみる？
「最近さー、無言電話超多くてー。知ってるでしょ？ あんたといる時もよくかかってくるし」
・・・・・・・・・・シカトかよ！・・・・あーあ、寝ちゃってるよ。ってか寝たふり？
こいつホントむかつく。 あのオンナにきまってるんだよ！
・・・私もしてるからお互い様だけど。 こいつもあのオンナもホントむかつく。
あたし、なんで別れないんだろ。 やっぱほれてるのかな？ でも半分はあのオンナへの意地？
あ〜ホント、イヤだイヤだオンナって。 まじ、あたしってどんどん嫌な女になってくよ。
携帯見ちゃおうかな・・・でもダメ！でも目線は離れない。 ダメダメ！
それやっちゃったら、マジ立ち直れないくらい嫌な女決定だもん。こいつとあのオンナのために
そこまで自分を落としたくないね。・・・・あ、ホントに寝た。呑気にグーグーいってるよ。
最近『疲れた』しか言わないけど、本当に疲れてるのかな？ でもその割には血色いいし。
よく食うし。食うっていってもコンビ二弁当とかお菓子ばっかだけど。
あたしのほうが食えなくなって、あんた、10キロも痩せたんだからね！
いい気分で寝てんじゃないよ！ ホントむかつく！
あーこいつあたしが気でもふれたら、ビビるかなぁ。 こんなに激痩せしたって
『痩せたね』の一言だもんな。 あんた本気で心配してないでしょ？
まじ、気でも狂いたいよ。こんな時ってお酒でも呑んだら楽になるかな〜？
・・・でもあたし呑めないし。あ、そーだ！ 楽になる方法が一つだけあるよ！
死んじゃえば良いんじゃん！ そしたら楽になれるし、こいつら罪の意識にさいなまれて苦しむでしょ？
まじ、これにきまりでしょ？！あたしってあったまいー！
今寝てるこいつの上で手首ばっさりやって、起きたら『し、しんでるぅ〜！！』みたいな。
一生呪ってやるぅ〜みたいな。
え〜っと、カッター、カッター・・・あ、あった。んーこれくらい刃出せば切れるでしょ？！
おわぁ〜買ったばっかりだから、刃がぴかぴかだよ。痛いかな？ そりゃいたいわな。
でもオンナって子供産む痛みに耐えられるように、痛みに強く出来てるって誰か言ってたし。
高いところから飛び降りてグシャグシャになるよりはましか。 そっちの方が痛そうだもん。
ま、あいにく未遂に終わっても、こいつら罪の意識は感じるでしょ？！きっとジゴクだろうなー。
でも今の苦しみよりはマシかもね。閻魔様お慈悲を〜〜って？！私は自分で死んだんじゃなくって
あいつらにころされたんですぅ〜〜なんて、ちょっと慌ててみたりね。
ちょっと、あててみるか。引くと切れちゃうから、ちょっとかる〜く押し当ててみるかな・・・。
いたぁたたたたたたたた！痛い！まじ痛い！ダメ！ 去年スキーで転んだ時より痛いかも。
刃をひくなんてムリムリ！・・・そりゃそうか。 料理でちょっと指先切っただけでもかなり
痛いのに、それ以上の傷つけようってんだから相当痛いにきまってるか。っぷ！あたしってやっぱ
チョット足りないかも。 あーそうか、スキーで転んだ時も何度も転んで痛みに慣れたら痛く
無くなったんだし、これも何度も練習すればいいんじゃん？
でもカッターはまじ痛いから、定規かなんかで・・・。あ、うちにはそんなもんないか。
あぁ、でもカードなら丁度良くない？！確か電気屋のポイントカードが財布の中に・・・
あ、これこれ。薄さも軽さもばっちり！何回かやれば慣れるっしょ？！
どれ・・・・あ、結構痛いかも。 結構軽く当ててるのに。
もうチョット強く押してみて・・・あーあー痛い痛い。引いてみる。・・・イタタタッ！
もいっかい！・・・・・ダー！痛いよ！こんなんじゃダメだ！我慢しろ！自分！
今度はのこぎりの様に・・・・ひぇーーーー！もうだめ！何回も引いちゃったら真っ赤に
なっちゃった！ 限界に痛いよ。 なんで私がこんなに痛い思いしてるわけ？
体だけじゃなく、心なんてこんなに痛んでるのに。
ちきしょー！腹たつ！ いっそのことこいつが死んじゃえばいいんだよ。
こいつが死ねば私もあきらめがつくだろうし。 この世からあたしがいなくなるなんて
あたしの負け見たいじゃん。 だったら元凶のこいつが死ねば一件落着じゃん。
でもこいつ結構力あるしな。 ジャニ系好きのあたしが何を間違ったのか初めて付き合った
体育会系で、Ｔシャツなんか首周りが結構きつかったりするもんな。
こんな奴に抵抗されたりしたら、まじあたしが死んじゃうよ。 は〜これが八方ふさがりってやつ？
第一、こいつが殺せたとしてもあたし逃げまくるのかったるいし、捕まったら刑務所行き直行でしょ？！
なんでこんな奴のために、塀の中でお勤めしなくちゃなんないのよ。
・・・・あ、あたしの好きなジャニちゃんがＴＶにでてる。そうだよなぁ〜。
あたしまだ若いんだし、これからこんなかっこいい子とお付き合いできちゃったりする可能性も
あるわけだし。 こんな奴のためにあたしのバラ色の人生棒に振ることないよなぁ。 って珍生だったりして。
死ぬのは痛いし、こいつは殺せないし。 ・・・・でも・・・・・
今こいつ寝てるし、今ならこのカッターで首のところプシューってやれば間違いなく殺せそう。
あ、そっか。 そしたらあたしの人生も血まみれか・・・なんちゃって。
・・・・・・はぁ〜なんか馬鹿馬鹿しくなって来た。 なんでこんな奴のためにこんなごちゃごちゃ
考えなくちゃいけないの？ あ、電話なってる。
「もしもし？」
『・・・・・・・・』
またかよ！ いいかげんうんざり。実際今日これで５回目だよ。
「ばぁ〜か！ ぶぅ〜す！ お前のかぁちゃんでべ・・・・」
きりやがったよ！ なにこのオンナ。まってろよ！直ぐコールバックしてやるから！
『・・・・・・』
「おまえのかぁちゃん、でべそ！」
へ！全部言ってやった！ あのオンナもすぐコールバックしてくるかなぁ？
まぁいいや。受話器あげとこ。うざいし。
はぁ〜なんか、この状況飽きてきたな。 この男にも。 ほら！ＴＶでジャニちゃんがあたしを
楽園に誘ってる！・・・・みたいな。 こんな筋肉馬鹿もういらないか。
今度は、色が白くて痩せ型でさらさらヘアーで、目がパッチリしてて唄がうまくて、１００人中
１００人がかっこいいって認めるような男にしよう。
「ちょっと、おきなよ！ 早く帰れっての！」
あーこの男一重瞼だから、寝起きは目つきの悪いこと悪いこと・・・ぶっさいく〜！
「・・・・なんだよ、急に」
「今荷物まとめるから、出てってね。 ちなみにもう会わないから。二度とこないで」
ははは！ 訳わかんなくてとぼけた顔してるよ。
えーっと、この引き出しに奴の着替えが入ってるから・・・・紙袋紙袋・・・と。
あ、写真どうしよう。 モロちゅーしてるのとかあるし・・・いいこと考えた。
確か今年の年賀状家で見てる暇ないとかいって、うちでみててそのまんましまってあるよなぁ。
そんなかに、あのオンナからのもあったな。確かに。『今年も仲良くしてください』みたいな。
アホかっつーの！！ まじで。
「写真は、あたしが写ってるのとかもあるから、送るよ。 この袋もってかえって」
「おい！なんなんだよ一体！」
「別れてあげるっての！ 早くあのオンナのとこ行っちゃいなよ！あ、それからあのオンナに
いっといて。 イタ電二度とすんな！って。 まじで。殺しちゃうよ！ってさ」
「お前、頭がおかしくなったんじゃねぇの？」
「そうかもね。そのほうが楽ってずっと思ってたからね。 これでなんちゃって不倫とも
おさらばだよ。じゃぁ〜ね〜！！」
はぁ〜すっきりした。 あいつすごすごと帰ってったよ。あとはチューの写真をメインに
あの女の家に送りつけるだけだな。
お！まだ夕方だし出かけるかな。 あたしは恋のハンターよ！てか？！
っぶ！ やっぱあたしって頭よっわーい！
久し振りに、先輩にでもＴＥＬして遊びにつれてってもらおう！
『・・・もしもし？』うわ〜３ヶ月ぶりの先輩の声！
「先輩？ あたし！！ 今日遊びにつれってって下さいよ〜〜」
『久し振りジャン！・・・ってかあんた・・・なんで泣いてんの？』
*****ＴＨＥ ＥＮＤ*****
***注意****
この物語はフィクションです。登場する人物・場所・名称はあくまで
実在するものではありません。 作者の妄想のたまものです。
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